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嗜癖の時代
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嗜癖の時代~現代人を蝕む心の病

岩崎正人/著

まえがきより

 嗜癖(Addiction)は、もともと薬物依存にまつわる言葉であった。しかし現在では、過労死問題、過食・拒食の摂食障害、ギャンブル、アルコール依存症など、現代人の病んだ心を解明するキーワードとして使われ始めている。
 精神科医の斎藤学氏は、わたしたち人間の生活の中にあるさまざまな行動の中から「嗜癖」という行動概念を導き出し、新たに次のように定義づけている。
 一、嗜癖行動は、もともと日常生活の中で個体のメリットに添う習慣の形で始まる。
 二、次に行動の自動化が進む。
 三、その結果、個体の真の(長期的な)利益とは一致しない悪い習慣が出てくることがあり、極端な場合には習慣を維持すること自体が行動の目的になる場合もある。
 こうした、ある習慣への執着をさして「嗜癖」と呼ぶ。(中略)
 本書はこの嗜癖行動の概念にそって、私たち人間生活の中に起こりうる現代的な心の病気にアプローチしたものである。

目次

まえがき

第一章 仕事への嗜癖
1 仕事依存症とは
 極端な「働き過ぎ」は病気である/病状を加速させる原因/仕事依存症へのプロセス/「仕事が生きがい」という危険
2 仕事依存症の特徴
 仕事依存症者の行動/自己診断のチェックテスト/病気は家族にも及ぶ/依存症の根は深い/他の嗜癖にのめり込みやすい
3 仕事依存症にならないために
 身体の調子より「心の調子」を診る/「釣りバカ日誌」がなぜウケる?/「過労死」を防ぐ早期発見
4 心身症と神経症
 心身症とノイローゼの違い/仕事に支障をきたす不安神経症/病気は「生活見直し」のチャンス/テクノ不安症とテクノ依存症

第二章 アルコールヘの嗜癖
1 アルコール依存症になるブロセス
 酒とのつき合い三タイプ/常習飲酒への平均的プロセス/アルコールヘの「精神依存」度/「精神依存」の次は「身体依存」と関連障害/依存症かどうかの判断基準
2 アルコール依存症の早期発見法
 身体障害型、暴力型、浪費型/アルコール依存度テスト/早期発見のプログラム
3 回復はするが完治しない病
 治療の三本柱とは/自助グループ「AA」の活動/快感は記憶の回路に固定される/アルコールのない生活――新しい自分をつくり上げる
4 アルコール依存症の人びと
 甘えん坊の大人子供/飲めない体質を無理に鍛えて/三二年間飲み続けて依存症に

第三章 摂食への嗜癖
1 摂食障害
 摂食障害とは/摂食障害へのプロセス/食行動とストレスの関連/行動の悪循環
2 過食症の特徴
 満腹感がわからなくなる/わかっていてもやめられない/太ると何もできない/イジメがきっかけで体重二二キロに/男性の摂食障害もある
3 拒食症の特徴
 拒食症とは/痩せ過ぎているのがわからない/登校拒否を前ぶれに/身長一六六センチ、体重三〇キロ
4 摂食障害の治療と予防
 病気はいつの間にか進行している/ダイエットと心の健康性

第四章 薬物への嗜癖
1 薬物依存の特徴
 依存性のある薬物の種類/薬物の作用と依存性
2 覚せい剤とシンナー
 日本の二大依存性薬物/骨までシャブられる覚せい剤依存/脳に作用するシンナー/崩壊家族とシンナー依存
3 薬物依存は治療よりも予防
 フラッシュバック現象
4 家族病理を背景にもつ薬物依存
 高校三年でブロン依存/家族の歪みが薬物依存へ/兄は銀行員、弟はシンナー依存へ/シンナー依存の末、火災を起こして死亡

第五章 ギャンブルヘの嗜癖
1 急増するギャンブル依存症者
 ギャンブル依存の特徴/アメリカのギャンブル依存症者/ギャンブルの種類/日常生活では得られない快感/ギャンブルする心の動き/不安がギャンブルに走らせる
2 病的なギャンブラー
 常習化する心の麻薬
3ギャンブル依存にならないために
 裸の王様/男らしさの誤ったイメージ/心の病気であるという認識
4 ギャンブル依存者の記録
 麻雀にのめり込む/夫婦一緒のカウンセリングに

第六章 性への嗜癖
1 さまざまな性倒錯
 異常な性行動とは?――フェティシズム・強迫衝動的乱交・露出症・窃視症・愛童症と近親相姦・服装倒錯症
2 男性の「見捨てられ体験」
 女性遍歴を繰り返す/「見捨てられ体験」の心の動き/他者愛から自体愛まで/結婚しない男たち
3 女性たちの不幸な幼児体験
 未婚女性と、何度も結婚を繰り返す女性/不倫、オフィスラブ/歪んだ心が引き合う
4 ある女性依存症者の記録
 今度の女性は自分を理解してくれるはず/再生か死か、二者択一の病気

補章 医療関連自助グループ

あとがき


105円で買った本の一冊。1994年初版。この年は僕が2回目の入院をし、自ら依存症を名乗った人と初めて会った年です。その人からこの本を借りて読んだのが、依存症に関する最初の本でした(中島らもの小説はもう少し早く読んでいましたが)。
今読んでも内容がそれほど古くありません。ということは、依存症の治療はこの15年革新が起きていないということであり、治療方法が確立済みということでもあります。
岩崎先生は、久里浜病院、都立松沢病院を経て、いまは藤沢の駅前でメンタルクリニックを開業されているようです。


> 棚卸をする前にスポンサーと一緒に読む?

うん、あの棚卸表は本の付録なので、表だけ流通するのは良いことではないんです。例えば書き方でも、一列目(相手の名前)だけ全部書いてしまい、次に二列目を全部かいてしまい・・・と縦方向に書いていきます。これを横方向に書くとうまくいかない、というようなことが本に書いてあります。

> PTSDの自覚はあったんですが、以前認知療法をやっていた

認知行動療法は、PTSDのような心因性の病気には良く効くわけですが、うつ病や統合失調のような内因性(内分泌系)の病気では効き目が落ちて「やらないよりマシ」程度になり、依存症のような器質性の病気となると効き目がさらに落ちるそうです。
どんな療法にも得手不得手があるということでしょう。

> 早速注文してみました。

依存症やAC関係の専門書は千部か千五百部売るのが限界だそうです(もちろん一部の高名な先生の書いた本は別でしょうが)。赤いきつねと緑のたぬきがこの限界を超えて売れていくのかどうか、関心を持っています。
ちなみにAAでは、12&12が年に千冊あまり、ビッグブックが年に二千冊あまり売れています。これはかなり驚異的な数字かも知れません。もっとも、ミーティング・ハンドブックの年に二万部という数字の前にはかすみますけど。
by kokoro-no-iede | 2010-01-18 15:42 | Bookplate
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