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「うつ」の構造
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「うつ」の構造
神庭重信・内海健/編

目次
序文 神庭重信
I.現代社会とうつ病
第1章「うつ」の構造変動
 ――超越論的審級の衰弱とメタサイコロジ―― 内海健
はじめに――うつ病像の変遷が意味するもの
1.Freudのメランコリー論
 A.対象喪失の精神病理
 B.Freudの「喪とメランコリー」
2.母の審級――Keleinの抑うつポジションについて
 A.全体対象の先行性
 B.全体対象にはすでに欠如が刻まれている
 C.病理の淵源にあるもの
3.超越論的審級の到来
 A.「おまえが壊したのだろう」
 B.丸呑みされる法
4.超越論的審級の衰弱
 A.「悪いようにはしない」
 B.近代的人間の要件とは何だったのか
5.うつ病の現代的様相
おわりに――もう一つの主体性はあるか

第2章 疲弊の身体と「仕事の科学」
 ――過労うつ病をめぐって―― 北中淳子
1.うつ病を大量生産する社会
 A.日本における「こころの風邪」
 B.北米のプロザック・ブームと治療楽観論
 C.こころの病をめぐる社会因の世界的台頭
2.こころの病の社会因
 A.社会因をめぐる歴史的論争
 B.19世紀以降の「仕事の科学」
 C.PTSDをめぐる論争――個人因vs社会因
 D.「私的な病」から「公的な病」へ
3.過労自殺・過労うつ病
 A.過労うつ病と電通事件
 B.うつ病の個人因と社会因をめぐる論争
 C.個人因と社会因の二項対立を乗り越えて
4.社会因の拡大
 A.こころの病の再概念化
 B.ストレスの解釈
 C.社会因をめぐるさらなる攻防
5.疲弊の身体
 A.単純化されたうつ病モデル
 B.主体性の所在
 C.産業精神医学と欝のあらたな障害化
6.こころの病とグローバル化する「仕事の科学」
 A.因果論の政治学
 B.「仕事の科学」の世界的(再)台頭
 C.感情労働とうつ病再考

第3章 現代のうつ病をどう考え,対応するか
 ――精神分析の立場から―― 牛島定信
はじめに
1.ある症例
 A.原状復帰の消失と一体化願望の出現
 B.躁的要素と攻撃性の解放,そして自己評価の低下
2.うつ病親和型性格の変容
 A.うつ病親和型性格の人格構造
 B.背景に退く社会的人格
3.パーソナリティの鑑別をめぐって
 A.神経症性うつ病ないしは未熟パーソナリティ障害型うつ病
 B.スキゾイドないしはスキゾタイパル・パーソナリテイ障害
4.精神療法的対応のあり方をめぐって
 A.治療を考える前に必要な人格構造の理解
 B.内因性うつ病に対する精神療法的接近
 C.シゾイド構造を基礎にしたうつ病への接近
 D.パーソナリティ障害を基礎にしたうつ病への接近
おわりに

Ⅱ.疾病概念を問う
第4章 「デイスチミア親和型」と「現代型うつ病」 松浪克文
はじめに
1.「デイスチミア親和型」の描像について――「うつ病」ではない
2.「デイスチミア親和型」は治療の対象だろうか?
3.「ディスチミア親和型」概念の必要性の議論――「ディスチミア親和型」は病型の提唱ではない
4.「ディスチミア親和型」論における語義の混乱
 A.病前性格としての「メランコリー親和型」の用法について
 [1]一般的用法
 [2]樽見らの用法
 B.病型としての「メランコリー(型)」の用法について
 [1]一般的用法
 [2]樽見らの用法
 [3]「ディスチミア親和型」という語の使い方
5.「現代型うつ病」(1991)との相違
 A.「現代型うつ病」(1991)の概要
 B.「デイスチミア親和型」との比較
おわりに

第5章 うつ病と退行期メランコリー 古茶大樹
はじめに
1.病の「種」と「類型」,診断について
 A.病気とは
 B.種と類型
 C.精神医学の特殊性
 D.診断について
2.今日のうつ病概念の問題点について
 A.体験反応(心因反応)の混入
 B.「精神病性・妄想性うつ病」の位置づけ
 C.仮面うつ病を見落とす可能性
3.感情の精神病理について一うつ病の症侯学を論ずるために
 A.精神症状の記述について――精神症侯学の限界
 B.感情の精神病理学

4.うつ病と退行期メランコリーの症侯学
 A.うつ病の全体像を貫くテーマ
 B.うつ病の特徴
 [1]全人性変化―不快な状態感情と身体感情
 [2]全身性変化―不快な状態感情は全身に広がる
 [3]生命性変化―生命感情障害
 [4]抑うつ的な表出の存在
 [5]病感の存在
 [6]体験反応ではない
 [7]非特異的な感情症状にとどまり,その他の精神病の一段階でない
 [8]否定的な自己価値感情について
C.退行期メランコリー
 [1]否定的自己価値感情と原不安の露呈
 [2]外界が排除された自閉思考
 [3]体験構造の特徴的変化
 [4]被害妄想と妄覚
 [5]病識欠如
 [6]匿病
 [7]自殺念慮
 [8]経過と治療について
おわりに

Ⅲ.神経生物学の展開
第6章 うつ病の神経生物学の潮流
 ――ポストモノァミン仮説のデイメンジョン 黒木俊秀
はじめに
1.DSMとうつ病医療の現代史
 A.DSM-5のゆくえ
 B.DSM-5に対する懸念
 C.メランコリアの復権を求める声
 D.DSM-Ⅲ以降の30年間に起きた意図せぬ結末
2.うつ病のポストモノアミン仮説
 A.グルココルチコイド系とストレス易傷性のディメンジョン
 B.遺伝子×環境相互作用のスキーマ
 C.うつ病と正常な悲哀は連続しているのか
 D.脳画像研究が診断分類に与えるインパクト
おわりに――Mayer Aへの回帰と内因性への郷愁

第7章 薬物療法の観点からみたうつ病 渡邊衛一郎
はじめに
1.抗うつ薬の過去と現在
 A.抗うつ薬開発の流れ一新規抗うつ薬誕生まで
 B.変わりゆくうつ状態の治療
2.抗うつ薬の弊害――不安・焦燥の惹起はあるのか
3.うつ状態の捉え方
 A.診断の問題――適切な診断は行えているのか
 B.双極性障害の問題
 [1]双極性障害の要素(Bipolarity)をどう治療に活かすか
 [2]双極性障害を広く捉えるべきか,狭く捉えるべきか
 [3]大規模スタディやガイドラインから考える双極うつ病に対する抗うつ薬投与の是非
4.うつ病治療で我々が心がけるべきこと
 A.ガイドラインに見るうつ病への対応
 B.うつ病治療の真のゴールとは
 C.抗うつ薬のアドヒアランスに配慮
おわりに――今後のうつ病治療で求められるもの

第8章 文化-脳・高次精神の共同構成とうつ病の形相 神庭重信
はじめに
1.うつ病の文化心理学的説明
 A.文化一高次精神の共同構成
 B.民族の性格とニッチの構築
 C.グローバル化と文化不均衡の時代
 D.文化混淆のマナー・文化装置の不在
2.文化神経科学から精神医学への接近
 A.言語や思考における文化の刻印
 B.知覚・注意機能の文化差
 C.社会認知の文化差
 D.文化アフォーダンスと時代に選ばれる病
 E.遺伝子と環境の共進化
おわりに

あとがきにかえて 内海健
索引

 うつ病は,専門家間の議論を超え,世論を巻き込んで語られ出した。そこでは表層的な理解や誤解,あるいは意図的な誘導が横行し,今やうつ病論の混乱は猖獗を極めている。このような時であるからこそ,うつ病論の晦渋な外観をはぎ取り,透徹した目をもって思考をめぐらさなければならない。
(序文より)


「家の中で行方不明」などと書いたら叱られてしまいました。ちゃんとありました。とほほ。

こういう本がでるのはうらやましいですよね。それはうつ病というジャンルに人気がある証拠です。アディクションという分野はほんとうに人気がないですから。
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by kokoro-no-iede | 2012-03-10 22:20 | Bookplate
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