これからの「正義」の話をしよう~いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル/著
鬼澤忍/訳
JUSTICE ~ What's the Right Thing to Do
by Michael J. Sandel
「正しい行ない」とは何か?
1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか? 金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか? 前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか――。つまるところこれらは、「正義」をめぐる哲学の問題なのだ。社会に生きるうえで私たちが直面する、正解のない――にもかかわらず決断をせまられる――問題である。
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。
アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。
ハーバード大学史上空前の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー、待望の邦訳。
こちら で話を出したハーバード白熱教室。サンデル教授の授業の書籍化。久しぶりに字が密集している本を買いました。
> 市の運営する...授産施設
ちゃんとした森田療法のできる施設でやってみたらどうですか。対人恐怖症ならなおさら森田療法がドンピシャでしょう。
こちら に一覧表があります。東京近辺ならたくさんある。恵まれていてうらやましいですよ。
薬を飲んできて良くならなかったのだから、薬以外の手段をどんどん試してみるしかありません。「今のままがいい」という自分で自分にかけた鎖を断ち切らないとね。
目次
第1章 正しいことをする
幸福、自由、美徳
パープルハート勲章にふさわしい戦勝とは?
企業救済への怒り
正義への三つのアプローチ
暴走する路面電車
アフガニスタンのヤギ飼い
道徳のジレンマ
第2章 最大幸福原理――功利主義
ジェレミー・ベンサムの功利主義
反輪その1:個人の権利
反論その2:価値の共通通貨
ジョン・スチュアート・ミル
算3章 私は私のものか?――リバタリアニズム(自由至上主義)
最小国家
自由市場の哲学
マイケル・ジョーダンの金
私は私のものか?
第4章 雇われ助っ人――市場と倫理
どちらが正しいのか――徴兵と傭兵
志願兵制の場合
命をもらっての妊娠
代理出産契約と正義
妊娠を外部委託(アウトソーシング)
第5章 重要なのは動機――イマヌエル・カント
権利に対するカントの見方
最大幸福の問題点
自由とは何か
人格と物}
道徳的かか否かを知りたければ動機を見よ
道徳の最高原理とは何か
定言命法対仮言命法
道徳と自由
カントヘの疑問
セックスと嘘と政治
第6章 平等をめぐる議論――ジョン.ロールズ
契約の道徳的限界 ㎜
同意だけでは不十分な場合――べースボールカードと水漏れするトイレ
同意が必須ではない場合――ヒュームの家とスクイジー・マン
利益か同意か? 自動車修理工サムの場合
完璧な契約を想像する
正義の二つの原理
道徳的恣意性の議論
平等主義の悪夢
道徳的功績を否定する
人生は不公平か
第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる論争
テストの差を補正する
過去の過ちを補償する
多様性を促進する
人権優遇処置は権利を侵害するか
人種隔離と反ユダヤ的定員制限
白人のためのアファーマテイブ・アクション?
正義を道徳的功績から切り雌すことは可能か
大学の入学許可を競売にかけては?
第8章
誰が何に値するか?――アリストテレス
正義、目的因(テロス)、名誉
目的論的思考:テニスコートとクマのプーさん
大学の目的(テロス)は何か?
政治の目的は何か?
政治に参加しなくても善い人になれるか
習うより慣れよ
政治と善良な生活
ケイシー・マーティンのゴルフカート
第9章 たがいに負うものは何か?――忠誠のジレンマ
謝罪と補償
先祖の罪を償うべきか
道徳的個人主義
行政府は道徳的に中立であるべきか
正義と自由
コミュニティの要求
物語る存在
同意を調節した責務
連帯と帰属
連帯は同族を優遇する偏見か?
忠誠は普遍的道徳原理に勝るか?
正義と善良な生活
第10章 正義と共通善
中立への切望
妊娠中絶と幹細胞をめぐる論争
同性婚
正義と善良な生活
共通善に基づく政治
謝辞
原注